Blueprint /ユーザーの行動・感情・思考・問題に感じている点を俯瞰できる

ANKR DESIGN

[いつやるか] ペルソナ決定後
[用意するもの] 付箋、ペン、模造紙(もしくはプロジェクト進行の間ずっと使用できるホワイトボード・壁)
[注意点] 自分の視点ではなくペルソナ視点で作成する

ユーザーへ提供しているサービスにおけるすべてのタッチポイントとユーザーへのサービス提供に関わる人や、データの流れやしくみを視覚化するためのサービス運用、設計ツールです。1980年代前半にリン・ショスタック氏が提唱しました。ブループリントとはもともと設計図の複写に用いられていたことから「将来の計画」「完成予想図」といった意味を持ちます。ユーザーがプロダクトを利用するフローにそって、行動やタッチポイントを可視化する点ではカスタマージャーニーマップにも少し似ていますが、大きく異なる点としてはカスタマージャーニーマップはユーザーの行動や心理にフォーカスするところ、ブループリントはユーザーの行動に合わせてフロントエンド、バックエンドがどう連携してどのように動くかにフォーカスするところです。カスタマージャーニーマップを通してユーザー視点によるビジョンがみえても、組織の壁や部門をまたぐ軋轢がネックとなることも考えられます。カスタマージャーニーでユーザーの成功体験をチームメンバーと共有したあとに、その成功体験の実現に向けたリソースの活用方法をブループリントを用いて検討しましょう。

目に見えてデザインが崩れているところや、タップ可能領域として判断できないといったようなユーザーインターフェイスが崩壊しているところは目が届きやすいですが、データが破損している、ユーザーの待機時間が長いといったシステムの根本的な課題であり、ユーザー体験として必要不可欠なところは後回しになりがちです。ブループリントにすることで全体像が明らかになるため、改善できそうな点や冗長さを解消する方法が発見できます。また新しくプロジェクトにジョインする人にとってもどんなプロダクトでどんな問題があるのか伝えやすいという利点もあります。

実施方法
プロダクトがユーザーに提供されるフローを、ユーザーのアクション、タッチポイント、サービスの支援・運営するシステムに関わるスタッフの行動などを時系列で記述することでブループリントは完成します。

1.
模造紙、もしくはしばらく消さずに残しておける環境であればホワイトボードに、上記の見本のように縦軸・横軸を書きましょう。横軸ではユーザーのタッチポイント、ユーザーの行動を時系列で表します。縦軸ではプロダクトを提供するうえで認識しなくてはならない重要な立場や役割を表していきます。例えば、ユーザーの行動、直接ユーザーと関わるフロントの行動、直接ユーザーとは関わらないバックの行動、サポートシステムの動きなどです。

注意点として、横軸と縦軸の項目はサービスやプロダクトによって異なることがあるため、プロジェクトによって縦軸に必要な項目を検討したうえで並べましょう。ブループリントを作成している間にフェーズの過不足に気づいたりする可能性は往々にしてありますので、横軸・縦軸の項目は付箋に書いていつでも貼り替えられるようにしておくのがおすすめです。

2.
カスタマージャーニーマップとほぼ同じ流れになるはずなので、まずは横軸のユーザーのタッチポイント、ユーザーの行動を時系列で横軸に書き出していきましょう。ユーザーの特定の行動によって新たなタッチポイントが生まれる場合は矢印で関係性を明記しましょう。

3.
次に縦軸のフロントに関わる項目を考えていきましょう。こちらにはユーザーから直接見えるところ、直接関わるところで発生する動きを書いていきます。例えば、ユーザーとカウンターや窓口スタッフ、営業のような人間対人間での行動や、ユーザーとモバイルアプリなどの間における人間対コンピュータの行動が考えられます。ここでもユーザーの特定の行動によって発生するフロント側の行動があるため、矢印でつないで関係性を明記しましょう。

4.
続いて縦軸のバックに関わる項目を書いていきます。ユーザーやフロントの行動をサポートするために発生する動きを表すこちらは、品質チェックのためのテストの実施、データの入力・更新、在庫管理チェックなどを書いていきます。フロントの行動と関わりのある項目は、こちらもまた矢印でつなぎましょう。

5.
サポートの動きは、例えばモバイルアプリであればテスト仕様書の作成、データベースを用意する、テストで使用する端末の購入、アプリの価格設定などが該当します。フロント、バックと関わりのある項目を矢印でつないでいきましょう。

ここまで完了して余力があれば、フロントやバックで関わるチームメンバーの感情曲線をカスタマージャーニーのように書き込んでみても良いでしょう。各チームメンバーのモチベーションをあげるところ・さげるところを理解しておくことで、問題点を事前に把握でき、工数を考えるときの要素のひとつとしても役立ちます。

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